ハーレー VOESって何なの?その2

前回はVOESの悲しい過去を赤裸々(?)にかいてみた。
今回はVOESの具体的な仕組みを書いてみる。

VOESの仕組み

VOESはただのバキュームスイッチではあるが、そのバキューム(負圧でもいいのか?)の取りだし口が絶妙な位置にあるため、いい仕事ができる。

VOES取り付けの模式図。負圧はこんな感じでスロットルバルブよりインマニ側から取る

図が下手ですいません。真ん中のななめに入っている線がスロットルバルブと思って見てください。

えーっと…図の右側がエンジン、左側が外でVOESの取りだしはスロットルバルブよりエンジン側についている。

図のスロットルバルブの開度はアイドリング状態で、ほぼスロットルは閉じている。キャブはスロットルのわずかな隙間から空気を供給しガソリンはアイドルミクスチャーポート((過去ブログにちょっと書いてあるよ) を通りスロットルバルブのエンジン側にちょろちょろ供給されている状態だ。

この状態だとスロットルバルブよりエンジン側は結構な負圧となり、VOESはONの状態となる。VOESがONだとECMは点火マップを早いほうへ切り替える。

んじゃ、全開の時はっていうと

スロットルバルブはほぼ水平。これによりインマニ内はほぼ大気圧となる

こんな感じとなり、VOESの取りだし口は外とがばっと外とつながり大気圧と一緒とは言わないけど、負圧は低くなる。これによってVOESはOFFになり点火マップを遅いほうに切り替える。

こんな感じでVOESのON/OFFはエンジンの回転数に係らずスロットルポジションや動きに連動してON/OFFを繰り返す事になる。

んじゃ実際の走行時どんな感じでON/OFFをしているか書いてみる。VOESがほぼスロットルの動きと連動しているがわかってもらえると思う。

アイドリング時

スロットルバルブは閉じ、インマニ内の負圧が高いためVOESはON。点火タイミングの早いカーブを選択。

急なスロットルワーク

がばっと急にアクセルを開けた場合や空ぶかしの時はベンチュリー内の気圧は下がりアクセル開度がそれほどでもない状態でもメインジェットが仕事をしたりするが、インマニ内は急激に外とつながり ベンチュリーとは逆に大気圧と近い状態となる。VOESはOFFとなり点火を遅いカーブに変更する。

パーシャル時

パーシャルってのはスロットルを比較的一定の位置にしていること。高速でも一般道でも一定のスピードで巡航しているときの状態。
アクセル開度としては大体1/4以下となり、キャブの低速ポート(過去ブログ参照)よりガソリンが供給されている状態で、 エンジン回転数に対してスロットル開度は少ない傾向がある。スロットルが閉じているのでVOESはON、点火タイミングは早いほうを選択する。

中開、全開

スロットルはほぼ水平、ベンチュリーは本来の径を取り戻し、ガソリンと空気がバンバン供給されエンジンの回転数が上昇する、まぁ早い話が加速中の状態。
スロットルバルブの壁がないってことになりインマニ内は大気圧と近くなって、VOESはOFFとなり点火タイミングは遅いほうを選択する。

エンジンブレーキ時

下り坂や車体の停止に向かっている時の状態で、当然スロットルバルブはアイドリングの位置となる。インマニ内の負圧は高まりVOESはON、早いほうの点火タイミングが選択される。

こんな感じなんでVOESのON/OFFはほぼ完全にスロットルバルブの開度や動きに依存する。

以前のブログに書いた簡易的なスロットルポジションセンサーの役目をしているってのはこんな理由からだ。

じゃあなんでVOESは点火のタイミングを変えるんだ

点火タイミングの話…にするとやれBTDCだTDCだの、何度だのと話が絶対にわけわからん方向いく(管理人の駄文書き能力だと間違いなくあさってにすっ飛んでいく)ので、 ざっくりと遅い時と早いときの違いってか基礎を。

VOESがONの時は上の例だとアイドリング時、パーシャル時、そしてエンジンブレーキ時だったけど、これらの共通点は回転数が一定、若しくは下がっている時の状態で、エンジンへの負荷が少ない時となる。

逆に急なスロットルワークや中開、全開時の共通点は回転数が上昇する状態であり、エンジンへの負荷が増大していく時だ。

本当にざっくりだけど、一般的に点火タイミングはできる限り早いほうがよいとされる。
タイミングが早いとエンジンへの負荷が減り、燃費もよくなりスムーズに回る。(あくまでも傾向ってだけだよ。絶対じゃないからね)

ところがエンジンの回転が上昇していくような高負荷状態だとそうも行かない。タイミングは早くして起きたいところだけどノッキングなる恐ろしい異常燃焼が起こる 可能性が高くなるからだ。

このノッキング、異常燃焼というだけあって予期しない場所とタイミングで圧縮した空気とガソリンが爆発する現象で、高負荷状態でよく起こる。
その威力は恐ろしく、頻繁にノッキングを起こしているようなエンジンはピストンの端っこが溶けてたりピストンリングが張り付いていたりする、エンジンに物理ダメージをきっちり残す 恐ろしい現象だ。

高負荷時はエンジンにダメージ与えたくないから点火タイミングを遅らせたい…でも低負荷の時は早くしておきたい。
こんな時にどうするかっていうと、

1、高負荷時に合わせた遅めの点火タイミングをあらかじめセットしておく

2、高負荷時には遅いタイミング、低負荷時には早いタイミングを選択できるようにする

3、ノッキングなんてくそくらえ!バンバン早くしておくぜ!

の三択に(実際に3を取ることはないと思うから二択だとは思うが)なると思うが、これ、1はガバナーで2はVOESってかEVO以降のエンジンが取った方法といえるんだよね。

こんな感じでVOESはエンジンにも優しく、且つパワーがでる方法の一つであり、ただのバキュームスイッチのくせに取り付け位置と考え方の妙により単純ながら実に言い仕事をする機構なんであった。


今回はここまでで。次回はショベル以前への取り付けの具体的方法と部品編で。


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